世界の庭(ヨーロッパ編4):ノットガーデン

シェイクスピアは晩年、生まれ故郷のストラットフォード・アポン・エイボンで余生を過ごした。 巨匠が1616年に没するまで暮らしていた家ニュー・プレイスは、現在では一般に公開されている。 併設する庭園には、赤、紫、ピンクといった明るい色の花が咲き、とてもカラフルだ。 木製の垣根にからんだ果樹には、リンゴなどの実がなっている。 シェイクスピア自身も、桑の木を植樹したそうだ。 その切り…

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世界の庭(ヨーロッパ編3):修道院野菜園

「野菜ってこんなに美しかったの!」 ヴェランドリー城の野菜園を見ると、そう思わずにはいられない。 中世の修道院庭園の原型をとどめている庭園が、ここに存在している。 庭園は7つの長方形にそれぞれ違う幾何学模様のデザインがほどこされている。 西洋ネギの青、紫キャベツとビートの赤、にんじんの葉の緑などの天然色が、彩り豊かなレイアウトを作り出している。 主役を演じている野菜は、太陽の光を浴びて、…

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世界の庭(ヨーロッパ編2):イギリスの城郭庭園

朝もやの中に浮かぶ神秘的なネス湖。 湖水のくすんだ青色と、周囲の山の緑色は、太陽の光の加減で微妙に変化し、同じ表情を見せることはない。 その美しさを活字で表そうとすると、どうしても陳腐になってしまう。 湖の北岸に、荒涼とした廃墟の城がたたずんでいる。 アンソニー・シールドは、この城の近くでネッシーを見たという。 スコットランドの北端に位置するアーカート城は、1200年代から残酷な争…

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世界の庭・ヨーロッパ1:チェルシー・フラワー・ショー(ロンドン)

地下鉄から会場への道は人であふれている。まるで大物スターのコンサートが開催されるかのようだ。イギリス人のガーデン好きは知っていたが、まさかこれほどまでとは思わなかった。チェルシー・フラワー・ショーを訪れる人の数は、半端ではない。 会場内も熱気ムンムン。まずは、アマ&プロ園芸家の植物デコレーションを展示したパビリオンへと向かう。巨大テントの中は、色鮮やかな花、花、花。140点ほどの作品が…

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世界の庭(ヨーロッパ編12):個性の庭の時代

グエル公園へ向かう。地図ではすぐなのに、坂道なので遠く感じる。 シエスタの時間は日差しが強く、かなりキツい。しかし、公園に着いたら、疲れは驚きに変わってしまった。 スペインのバルセロナにあるこの公園は、アントニオ・ガウディが設計を担当した。風変わりな動物像や小さな家、グロテスクな柱と壁など、この公園は彼の作品そのものだ。 これらのオブジェが、ヤシなどの樹木と調和し、不思議な雰囲…

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世界の庭(ヨーロッパ編11):フランス印象派の庭

睡蓮シリーズで知られるモネの庭園は、まるで日本画の世界だ。 日本庭園を見習っただけあり、優しい曲線とアンバランスなレイアウト。 藤がからまる日本橋、枝垂れ柳、竹林。睡蓮の花は夏が見頃だが、どの季節に訪れても、趣きのある情景が広がっている。 モネは、一連の作品を描き始めるまでに、20年以上の時間を費やしたという。 花そのものではなく、水の反映と変化する光を追求し、透明感のある作風を確立…

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世界の庭(ヨーロッパ編10):公園の発達

公園を散歩すると、穏やかな気持ちになる。忙しい毎日を送る現代人は、自然との触れ合いを求めている。 イギリス公園の出現は、近代社会の要望に応えた結果として登場する。 19世紀、ブルジョワ階級への不満が高まり、社会的矛盾を糾弾する動きが激しくなると、権力者はもはや大庭園を独占できなくなった。 また、産業革命の弊害で都市はゴミゴミと混雑し、一般市民が寛ぐオープンスペースが必要とされた。 こうし…

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世界の庭(ヨーロッパ編9):イギリス王立キューガーデン

「札幌でビールとジンギスカンを食べるのが楽しみなんですよ」 王立キューガーデンのスタッフが、こんなことを言っていた。 年一度は海外で植物採集をし、5年前にも北海道へ来たとか。 絶滅の危機にある植物を保護するため、種だけを採集する。 植物園で育てた植物を、自然に戻すこともあるそうだ。現在3500以上の種を保存しているという。 世紀半ばに造られた植物園は、1840年に国立キューガーデン…

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世界の庭(ヨーロッパ編8):イギリス風景式庭園

無邪気に遊ぶマリーアントワネット。 子供の頃に熱中したコミックで、その庭園の名はすでに知っていた。 ワラぶき屋根の田舎家を集めた庭園アモーだ。 ヴェルサイユ宮殿内に造られたこの庭園は、フランス様式とはかなり違い、中国の山水を盛り込んだ、まるで手を加えていないような自然らしさを装っている。 また、王妃が恋人フェルゼンとひとときを過ごしたという愛の神殿は、古代ギリシャ・ローマ風のさっぱりした…

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世界の庭(ヨーロッパ編7):フランス式庭園の影響

ヴェルサイユ宮殿の完成後、フランスだけでなく、ヨーロッパ各国で平面幾何学庭園が大流行となる。 フランスの園芸家は、ヨーロッパ人のあこがれの存在で、あらゆる君主が、自分のヴェルサイユ宮殿を築くことを夢見た。 イギリスでも、ル・ノートルの影響力は大きく、たくさんのフランス人園芸家がイギリスに招かれ、イギリス人園芸家がフランスを訪れた。 グリニッジパークのパルテールは、ル・ノートルがデザインした…

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